二回目の学級裁判が始まろうとしている。
・・・・。
ついこの間、ここにいる人達全員と初めて知り合った。
それは私だけでなく、他のみんなもそうだ。
それぞれ強い個性を持ちつつも、きっとこの先には他の学校では得られない
沢山の思い出と青春を謳歌するはずだった。
なのに・・・・。
どうして・・・・。
私達は殺し合いをすることに・・・・・。
モノクマ
「ほらほら、早く席について。席についていないのはもうまな板だけだよ?」
琶月
「・・・・!」
モノクマに急かされてハッと我に返る。・・・・まな板と呼ばれて我に返るのもちょっとムカつくけど・・・。
いつのまにかエレベーターはもう到着していて、皆も席についていたみたいだ。
ゆっくり歩きながら自分の席へと向かっていく。
キュピル
「大丈夫か?」
琶月
「あ、はい・・・。」
こんな時でも誰かを心配してくれているキュピルさん。
他の皆はそれぞれ考え込んでいたり、思いつめていたりしているのに・・・やっぱり、キュピルさんだけは何かが違う。
どう違うのかって言われたらよく答えられないけど・・・。勇気だとか、そういうのだとはまた違う何かを感じる。
モノクマ
「やれやれ、僕本当に待ちくたびれちゃったんだからね。学級裁判の簡単なおさらいだけ始めるから
オマエラさっさと初めて頂戴。」
そういうと、モノクマは何処からともなくラジカセを取り出し、再生ボタンを押した。
「まずは学級裁判の簡単な説明から始めましょう!!
学級裁判の結果は、オマエラの投票により決定されます。
正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき!!
だけど・・・もし、間違っていたらクロ以外の全員がおしおきされ
皆を欺いたクロだけが晴れて卒業となりまーす!!」
ボロ
「・・・え、えーっと、もう始めて良いんすよね?」
モノクマ
「いいよいいよ。」
ルイが一度コホンと咳払いし場を仕切りなおす。
ルイ
「今回で2回目の・・・学級裁判ですが・・・・。」
ルイが喋っている途中、いきなりギーンがく片手で台を強く叩いた。
バンッと音が鳴り響き全員がギーンの方へ向く。
ギーン
「いいか。犯人は既に判明しているっ!!」
ギーンが力強い発言で周囲を圧倒した。
いきなりの爆弾発言に周囲は当然慄いた。慄かない方がどうかしている。
ガムナ
「は、はえぇっ!?」
ボロ
「誰っすか!?犯人は誰なんすかっ!!?」
開始して僅か10秒。早くも事態は緊迫化している。
ギーンが腕組みを解きながら話を続けた。。
ギーン
「良いか。犯人は・・・超高校級の殺人鬼の異名を持つ奴が犯人だ。」
ボロ
「ちょ、超高校高級の・・・」
ガムナ
「殺人鬼だと!!?」
ボロ
「・・・って誰っすか?」
場に居た半分以上の人がガクッと項垂れた。
キュー
「あ、あからさまに大きな反応を見せたんだから知っているのかと思ってた・・・。でも、私も知らないんだよね・・・・。それって誰の事?」
キュピル
「・・・・琶月、答えてやってくれ。犯人じゃなくてその超高校級の殺人鬼が巷で呼ばれている呼び名を。」
琶月
「ジェノサイダー・・・翔・・・。そうですよね?」
[言魂:ジェノサイダー翔] ->今、巷を騒がせている連続殺人鬼。 ->イケメンかつ若い男性を中心にドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺しまわっているらしい・・・・。 |
ボロ
「あ、あぁ・・・。ジェノサイダー翔の事っすか・・・。」
ガムナ
「超高校級の殺人鬼なんて言うから誰かと思ったぜ。」
同じような反応を二人は見せたが、今度はちゃんと通じたようだ。
確かに、思い出してみれば超高校級の殺人鬼だなんて言いだしたのはギーンが初めてだから知らないのも無理はない。
ガムナ
「や、やっぱり・・・今回の犯人はそいつなのか・・・?」
ギーン
「そうだ。」
ギーンは力強く言い放った。
ファン
「しかし、仮にジェノサイダー翔が犯人だった場合は僕たちの誰かがジェノサイダー翔だという事になりますが。」
ギーン
「ふふっ、察しがいいな。そうだ!この中にジェノサイダー翔がいる!!」
再び場がざわめきだした。
ノイズを振り払ってギーンの言う事に耳を傾ける。
が、ギーン以上に大きな声を上げて反論を上げる人がいた。
意外な事に大きな声を上げている主はジェスターだった。
ジェスター
「ちょっと待って。私ジェノサイダー翔とか良く知らないんだけど、本当にその人の犯行なの?ギーンの妄想癖が爆発してるだけじゃなくて?」
ギーン
「失礼な事を言う。」
キュー
「お前が言うな!!」
ギーン
「この俺様が言っているのだぞ。」
ジェスター
「そんなの知らないよ。ジェスター様より偉い人はいないもん。ギーンの妄想!でっちあげ!!」
・・・ど、どうやら・・・。
まずはジェスターを納得させないと議論は進展しなさそうだ・・・・。
キュピル
「琶月。」
琶月
「ふぇっ!?」
これから議論が始まろうとしたその瞬間。突如キュピルに話しかけられてまぬけな声を出してしまう。
キュピル
「・・・前回の学級裁判を見て少し琶月に助言したい事があるんだが・・・。」
琶月
「な、なんでしょうか・・・。」
キュピル
「相手の意見を打ち壊すだけが議論ではない。
時には相手の意見に同意し、その発言に乗っかる事も重要だ。」
琶月
「・・・え、えーっと・・・それはつまり・・・?」
キュピル
「自分の持っている証拠から見て、正しいことを言っている人がいたらその人を援護してやれって事だ。正しい内容ならちゃんとそれを確定してやってこの先の議論でぶれない様にする。
議論は、そういう行為も必要だ。」
・・・相手の意見に同意して発言力を強くしてあげる・・・。
そうだよね、正しいことは正しいってちゃんと私からも推してあげないと。
キュピル
「・・・そろそろ議論が始まりそうだ。耳を傾けろ。」
琶月
「はい。」
・・・相手の意見が・・・正しければ強く背中を押してあげればいいんだよね?
---議題:犯人はジェノサイダー翔?---
ジェスター
「犯人がジェノサイダー翔の訳ないよ!!」
ギーン
「ジェノサイダー翔の事を知らない奴が良く言う。」
ディバン
「ジェノサイダー翔の特徴について誰か言ってやってくれ。」
ガムナ
「良いぜ。言ってやるぜ!!ジェノサイダー翔の特徴は超高校級の美少女だ!!」
・・・・賛成どころか、突っ込む気にもならない。
ファン
「僕の記憶が正しければ、ジェノサイダー翔は無差別に殺人を起こす超高校級の危険人物だったと思います。」
・・・・違う。確か・・・ジェノサイダー翔は無差別に殺人を起こす人ではなかったような・・・。
ボロ
「仕方ないっすね。俺が本当の事言うっす。ジェノサイダー翔は必ず特徴のある武器で殺人を起こす奴っすよ。」
・・・これだ!
琶月
「ボロさんの言う通りです。ジェノサイダー翔は殺人を起こすとき、必ずある武器を使います。」
ジェスター
「それって?」
琶月
「ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフです。」
ジェスター
「ドクロマークとハートマークが彫り込まれた・・・ナイフ?なにそれ?それが本当にジェノサイダー翔がやった事になるの?どうして?」
琶月
「な、なんという質問攻め・・・・。」
ギーン
「おい、まな板。ちんたらやってないでとっとと証拠を見せてやれ。」
琶月
「まな板は余計です!!!」
ギーン
「なら洗濯板。」
琶月
「う、うぅぅぅぅ・・・・・・。」
・・・・泣きたいぐらい悲しいけど、今は証拠を提示しよう・・・・。
琶月
「こ、これです・・・・。」
[言魂:ジェノサイダー翔の事件簿] ->これまでジェノサイダー翔が犯した犯罪、事件、殺害人物について全て細かく記載されている。 ->ジェノサイダー翔の特徴として、ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフを使って被害者を殺害し壁に磔にしている。 ->ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺害している件は一般に知られているが、磔にされている事は極秘情報となっている。 ->以前、ギーンからジェノサイダー翔は貴族の嗜みを持つ知能犯という事も聞かされている。 ->犯行に使用しているナイフは全て銀製の物。 |
琶月
「この事件簿にドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフを使って被害者を殺害する特徴を持っているっとしっかり書かれています!!」
ジェスター
「フランス語わかんなーーーーーーーーーい!!!」
ボロ
「っつか、凄いっすね。琶月フランス語読めたんすね。」
ガムナ
「やべぇ・・・。インテリの香りが・・!!ただのまな板じゃなかった・・・!!」
琶月
「ふっふっふ・・・・。」
胸を突き出して誇らしげなポーズを取る。
ギーン
「俺が読んであげた癖に意気がるな。」
ボロ
「やっぱただのまな板っすね。」
ガムナ
「ただの洗濯板だな。」
予想していた通りの突込みと凄まじい手の平返しに遭う・・・。
琶月
「(やっぱりギーンに突っ込まれた・・・・。)」
キュピル
「だが重要なのはそこじゃないだろう。事件簿に書かれてある事は事実なんだよな?」
キュピルが腕組みしたままギーンに問いかけた。話の軌道を元に戻してくれた。
ギーン
「事実だ。そいつは本来警察庁に保管されているはずの超極秘ファイルだ。ここにある事に驚いたが、以前俺が読んだ物と一致している。そいつが本物である事は俺が保証してやろう。」
ジェスター
「間違ってたら死刑ね。」
テルミット
「以前にも読んだ事があるって・・・・。どういう事ですか?」
キュー
「そんな凄い本をあんたがどうして読めるの!!」
ジェスターの言う事には突っ込まずテルミットがギーンに質問し、キューもそれに乗っかる。
しかしギーンは二人を鼻で笑い飛ばす。
ギーン
「おい、俺を誰だと思っている。一国の首相だぞ。俺の権力を持ってすれば出来ない事はない。」
キュー
「ぐぬぬぬ・・・・。」
か、格が違う・・・・。
ギーン
「話を戻す。今回の一件はジェノサイダー翔が起こした事件だという事はこれで疑いようはないな?」
キュー
「・・・。ギーンの話に賛同するのは凄い悔しいけど、これはジェノサイダー翔が起こした事件で間違いないと思うよ。」
ガムナ
「ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフがきっちりヘルの胸に刺さっているしな・・・・。」
テルミット
「と、という事は・・・。やっぱり僕たちの中にジェノサイダー翔が紛れ込んでいるって事ですか・・・!!?」
ディバン
「これまでの話を繋げるとそうなるな。」
テルミット
「そんな・・・・。」
はたして・・・・。
本当に・・・本当にこの中にジェノサイダー翔がいるのだろうか・・・・。
あの時・・・。ギーンはルイさんをジェノサイダー翔ではないだろうかと疑っていたけど・・・。
本当にそうなのだろうか・・・・。私にはとてもじゃないけれど、そんな人には見えない・・・・。
ふと、顔を上げると偶然ルイと目があってしまった。ルイはニコッと私に笑いかけてくれた。まるで、心配ご無用とでも言うかのように。
ギーン
「今回の事件はジェノサイダー翔が起こした。では、ジェノサイダー翔は誰なのか。」
ジェスター
「誰なの?あ、言っておくけど私じゃないからね!」
ボロ
「でも難しいっすよ、こんなの割り出しのは。警察が総力上げても見つからない奴っすからね・・・。」
ギーン
「既にジェノサイダー翔が誰なのか検討はついている。」
ガムナ
「な!」
ボロ
「なっ!」
ガムナ&ボロ
「なんだってぇぇっっっーーーーー!!!」
二人が慣れた口ぶりで叫ぶ。
ギーン
「その犯人は・・・ルイ!!貴様だ!!!」
ギーンに指を指されたルイがびっくりした表情を見せる。
ルイ
「わ、私ですか・・・!!?」
キュー
「意義あり!!」
すかさずキューがギーンを指さし思いっきり突っ掛った。
キュー
「ルイが犯人な訳ないよ!!」
ギーン
「ほぉ。そう思うなら、何故そうなのか理由を説明してもらおう。」
・・・・今回の学級裁判はここがポイントだ。
琶月
「(犯人はルイさんなのか・・・?ルイさんは本当に超高校級の殺人鬼なのか・・・・?)」
まだ序盤でありながら、今後の学級裁判の方針を大きく動かすことになる超重要な議論になる。
ここで間違った方向に議論を持って行ってしまったら、ほぼ終わりと思っていい・・・!!初手にも関わらず重要な議題だが・・・。
状況を明らかにしていこう!!
--議題:犯人はルイ?--
キュー
「ルイが犯人な訳ないじゃん!!」
まずはその根拠のない発言は無視しよう・・・。
それにルイが確実に犯人ではないという証拠は持っていない。
ギーン
「根拠のない発言は止めろ。何故ルイが犯人ではないのか。論理的な意見、または物的証拠を見せろ。」
論理的な意見・・・。もしくは・・・物的証拠・・・・。
キュー
「論理的意見があるよ!!」
ギーン
「ほぉ?言ってみろ。」
キュー
「ルイは優しくて作る料理も美味しくて美人さんなんだよ!そんな人が人殺しをする訳ないじゃん!!!」
ルイ
「まぁ。ふふっ、ありがとうございます。」
ガムナ
「・・・で、反論は終わり・・・なのか?」
キュー
「え?論理的意見だったでしょ?」
ギーン
「呆れて物も言えんな。」
・・・・・・。
話にならない・・・・。
流石の私でも思わず溜息をつきそうになった。
ギーンを納得させるためには論理的な意見、または物的証拠がなければ黙らせることは出来ないだろう。
・・・・私は論理的な意見、または物的証拠を持っているのか?
ギーン
「話にならん。キュー意外でも良い。誰か論理的な意見、または物的証拠を持っていないのか?ふん、どうせ誰も持っていないのだろうな。」
琶月
「それは違う!!」
今度は私がギーンの発言に食いつく。
ギーンの鋭い眼光を向けられる。
ギーン
「何だ?まな板が。言ってみろ。」
琶月
「・・・・・最初の発言は聞かなかったことにして・・・。私は論理的な意見を持っています。良いですか?ヘルさんの死体の状況についてよく思い出してみて下さい。または電子生徒手帳で死体の状況を確認してみて下さい。」
私がそういうと何人かが電子手帳を取り出し死体の状況を確認し始めた。
琶月
「ヘルさんは公共浴場の壁に磔にされた状態で見つかっています。つまり、ジェノサイダー翔がヘルさんを壁に張り付けた事になります。
ここまではいいですね?」
何人かが頷く。
琶月
「そして今から私がいう事はガムナさんも言っていた事ですが・・・。」
[言魂:ガムナの証言] ガムナが以下の発言をしている。 「ヘルの推定体重は80Kg前後。そんな重たい人を持ち上げて壁に打ち付けるのは男性でも辛いな。 少なくとも、女性には無理なんじゃないのか?」 |
琶月
「ヘルさんの体は殆ど筋肉で出来ていて、それでいて高身長。当然ながら体重も一般人とは比較にならないぐらいあります。推定80Kg程あるヘルさんを
ルイさんが持ち上げて壁に釘を打ち付ける事ははたして出来たでしょうか?」
ディバン
「80Kgか・・・。体力に自身のある奴でもかなり厳しいぞ。ましてや死体だ。物を扱うのとはまた違う難しさがある。」
ジェスター
「ルイは80Kgの物を持ち運べる?」
ルイ
「う、う~~~~ん・・・・・。その、疑われている中でこのような事を申してもあまり信用を得られない気はしますが・・・。80Kgの物は流石に持ち運べないですね・・・・。それを抑えながら腕に釘を打ちこむなんて至難の業です。」
ガムナ
「つーかよ・・・。仮にルイさんがヘルを持ち上げて磔にすることが出来る力を持っていたとしても、それをルイさんがやったって証拠にはならないんじゃね・・・?」
それもそうだ・・・。
キュー
「だってさ。ほら!やっぱりルイは犯人じゃなかった!私は正しかった!正義は我らにあり!!!」
キューがまだギャーギャーと騒ぎ出す一方、私はずっと別の考え事を続けていた。
琶月
「・・・・・・・・・・・・。」
キュピル
「琶月。」
琶月
「へっ?」
私の対面に立っているキュピルが話しかけてきた。
キュピル
「琶月は、ルイが犯人だと本当に思っているのか?」
琶月
「・・・・いえ、私はそうではないと思っています。」
キュピル
「・・・・そうか。多分正しいだろうな。」
琶月
「へっ・・・・?あ、はい!!」
キュピルにそう言われると不思議と自信がついてくる。
ルイさんは犯人ではないとみて良いのかもしれない。
つまり、ルイさんはジェノサイダー翔なんかじゃない!!
・・・・。
でもなんだろう・・・。
キュピルさんは・・・それを見越して正しいって言ったのか・・・それとも単純に・・・・。
私が考えている途中にギーンが横から話しかけてきた。
ギーン
「ふん、琶月。今のでこの俺を論破したつもりか?」
琶月
「へっ?」
再び素っ頓狂な声を上げる。
ギーン
「いいか。ルイが犯人である理由は他にもある!それも致命的な証拠がな。」
ボロ
「マジっすか!」
ギーン
「聞け!!ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフがルイの部屋から見つかっている。」
ボロ
「な・・・・。」
ガムナ
「なっ・・・!!」
キュー
「なっ!!!!」
ボロ&ガムナ&キュー
「なんだってええええぇぇぇぇっっっっっーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!??????」
琶月
「え!?え!?嘘だよね!!?」
ついさっきルイさんがジェノサイダー翔なんかじゃないって自分の中で仮の答えを出したばっかりだったのに!!
もしかしたらこの発言そのものが嘘なのでは・・・・。
だけど、ギーンの表情は真剣そのものだ。とても嘘を言っているようには思えない・・・・。
ファン
「ル、ルイさん!!こ、これはどういうことなのでしょうか!?」
ディバン
「お、おい!!ルイ!まさかお前が本当にジェノサイダー翔の訳が・・・ないだろうな!?」
ルイ
「ご、誤解です!!わ、私がジェノサイダー翔だなんて・・・。何かの陰謀です!!そ、そもそもどうやって私の部屋に入ったんですか!?鍵は私がいつも持ち歩いているのに・・・。」
ギーン
「そんな事は些細な問題だろう?そんな問題より、貴様がジェノサイダー翔か否かの方が重要だろう。」
ギーンの猛攻はまだまだ続きそうだ・・・・。
今回の学級裁判・・・。一体どうなってしまうんだろう・・・・。
---議題:ジェノサイダー翔の正体はルイ!?---
ギーン
「ジェノサイダー翔の正体はルイだ!!」
ルイ
「ち、違います!!私はジェノサイダー翔何かじゃありません!!」
ど、どっち・・・!?どっちが正しい・・・!!?
ギーン
「ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフが・・・ルイ!貴様の部屋から見つかっているのだぞ!!」
ギーンはルイの部屋から見つかったっと言っているけれど・・・・。
本当にそれが正しいかどうかが私には分らない。論破のしようがない・・・。
ルイ
「人の部屋に勝手に入るなんて・・・・酷い・・!!!」
キュー
「プライバシーの侵害だー!!エッチ!!すけべ!!逮捕だーーー!!!!」
ギーン
「ふん、俺様が立ち入らなければこの事件は解決しなかっただろうな。」
ルイ
「大体・・・!!さっき私はジェノサイダー翔ではないって証明されたじゃないですか!!」
ギーン
「ほぉ?それは何だった?もう一度言ってみろ。」
ルイ
「ヘルさんの推定体重は80kg!!そんな重たい方を持ち上げる事は私にはできません!!」
ギーン
「ヘル『は』か?」
ルイ
「ヘルさんじゃなくてもです!!大体、今まで何人もの人が壁に磔にされて殺されていましたが、そもそもヘルさんでなくても
重たい男性の方持ち上げて磔にするなんて私には無理です!!!」
ルイが今の発言を行った瞬間、キュピルとギーンがルイを鋭くにらみつけた。
そして偶然、私も今の発言におかしな所がある事に気が付いてしまった。
琶月
「・・・!!それは違うよ!!」
ルイ
「え・・・。な、何が違うんですか?」
琶月
「あ、えっと・・・。違うってうか・・・これはつい出ちゃったフレーズで・・・。
でも、今の発言に明らかにおかしな点が含まれています!!」
ルイさんは・・・知らないはずの情報を口にした・・・・!!
テルミット
「おかしな・・・点・・・?琶月さん、それは一体・・・。」
琶月
「いいですか、ルイさん・・・・。ジェノサイダー翔が被害者を壁に磔にして殺すことは・・・極秘情報なんです!」
ルイ
「っ・・・!」
[言魂更新:ジェノサイダー翔の事件簿] ->これまでジェノサイダー翔が犯した犯罪、事件、殺害人物について全て細かく記載されている。 ->ジェノサイダー翔の特徴として、ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフを使って被害者を殺害し壁に磔にしている。 ->ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺害している件は一般に知られているが、磔にされている事は極秘情報となっている。 ->以前、ギーンからジェノサイダー翔は貴族の嗜みを持つ知能犯という事も聞かされている。 ->犯行に使用しているナイフは全て銀製の物。 |
ルイの表情が一瞬にして険しくなった。
ギーン
「被害者が皆磔にされた状態で発見されている事は俺様みたいに各国の首相、もしくは警察庁のトップクラスの者でなければ知る事の出来ない情報だ。
たかが一端のメイドが何故そのような事を知っている?」
ルイ
「えっと・・・。わ、私が働いていたお屋敷のご主人様は・・・警察局と強いコネを持っていて・・・。」
ギーン
「そいつの名は何だ?コネを持っている奴の名は俺が全て知っている。間違った事を言ったらすぐに指摘してやるぞ。ほら、どうした。言ってみろ。」
ギーンの下等生物でも見るかのような哀れみの目と、追及の視線をルイに注ぐ。
ルイはおどおどしながら、どうやって弁明しようか真剣に悩んでいる。
ルイ
「えっと・・・その・・!!えーっと・・・・。」
ギーン
「どうした。早く言ってみろ。」
ルイ
「黙りなさい、負け犬がっ!!!」
ボロ
「ひぃぃっす!!!?」
ギーン
「ま・・・負け犬・・だと?」
ルイの隣に立っていたボロが滅茶苦茶びっくりする。
ルイが深いため息をつく。
キュー
「ル・・・ルイさん・・・?」
ルイ
「・・・仕方ありませんわね。そこまで探られてしまっては私も正体を白状するしかありませんわ・・・。
そう!この私こそが 超!高校級の殺人鬼。ジェノサイダー翔!!!」
ルイが会場全体をも震わせる恐ろしい声で叫んだ。身も竦む恐ろしい叫び声・・・・!
・・・私は勿論、キュピルとギーンを除く全員が超びっくりした表情を見せている。
・・・何故かモノクマも物凄びっくりした顔を見せている。
ルイ
「・・・ふふ、大きな声で言ったらスッキリしましたわ。」
確かに、とてもスッキリしたのか今までの中で一番良い笑顔を見せるルイ。
だけど、今ではその笑顔も全く違う物に見えてしまう・・・・。
テルミット
「お、お、お、お、落ち着いて!ルイさん!!」
ルイ
「黙れモヤシ。」
テルミット
「も、もやし・・・?」
ルイが笑顔のままテルミットを罵る。
ジェスターが小さく座り込んで半分隠れながら様子を伺い続けている・・・。
ギーン
「ふん。ついに本性を現したか。これで決まりだな。今回の犯人はジェノサイダー翔・・・つまり、ルイだ!!」
琶月
「そんな・・・・。まさか本当にルイさんが・・・ジェノサイダー翔だったなんて・・・・。」
ジェスター
「という事はルイが犯人なの・・・・?」
キュピル
「・・・・・・・。」
・・・・キュピルさんはルイさんが犯人じゃないって言ってくれたけど・・・。こんな状況・・・・。
本当にこれを見越してまで言ってくれたのかな・・・。それとも、今じゃキュピルさんも心の中ではその答えが揺らいでいたりするのだろうか・・・・。
私はどう考えれば・・・・。
その時、ルイが力強い声をあげた。
ルイ
「ちょっとお待ちいただけますか?」
ルイがビシッと手を前にだし静止のポーズをとる。
ルイ
「確かにジェノサイダー翔とは私の事ですが・・・・。今回の犯人は私ではありませんわ。」
ボロ
「な、何言ってるんすか!!」
ガムナ
「ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフを使って挙句の果てに犯人とトップシークレットの磔情報を知っていたんだぞ!?どう考えてもルイしか犯人いねーじゃねーか!!」
ルイ
「いいえ。私がジェノサイダー翔である、その点については否定しませんわ。だけど、私が犯人であるはずがありません。なぜなら、ヘルの胸に突き刺さっているナイフは私の物でないのですから。」
ジェスター
「何で?」
ガムナ
「んなの信用できるかぁっ!!ナイフを使って仕留めている!!ジェノサイダー翔の特徴そのもの!!犯人はルイだ!!
ルイ
「あ~~~~~~~~~~~~んな安っぽいナイフが私の物の訳がありませんわ♪・・・そうでしょ?この10円ガムが!!!」
ガムナ
「だぁーーー!!!俺に言っちゃいけねぇ事言ったなぁぁぁっっーー!!!?」
キュー
「へぇ・・・。10円ガムって言うと怒るんだ・・・。」
ルイが両手を大きく横に広げて心底がっかりしたような表情を見せる。
・・・本性を現してから一つ一つのリアクションが過剰だ。
ルイ
「私の持つナイフはあんな荒削りのナイフじゃなくて銀製の、しかも特注のナイフですわ!私はただの殺人鬼何かではなく道具にも拘る、コダワリ派職人ですの。」
ディバン
「銀製の特注ナイフだと?それを証明する手段をお前は持っているのか?」
ルイ
「ありますわ。」
ディバン
「出来ればこいつ以外の口からききたい。こいつの犯行は全て銀製のナイフだっていう事を証明できる奴はいるか?」
琶月
「あ、それは私が出来ます・・・。・・・・これです。」
[言魂:ジェノサイダー翔の事件簿] ->これまでジェノサイダー翔が犯した犯罪、事件、殺害人物について全て細かく記載されている。 ->ジェノサイダー翔の特徴として、ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフを使って被害者を殺害し壁に磔にしている。 ->ドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺害している件は一般に知られているが、磔にされている事は極秘情報となっている。 ->以前、ギーンからジェノサイダー翔は貴族の嗜みを持つ知能犯という事も聞かされている。 ->犯行に使用しているナイフは全て銀製の物。 |
琶月
「ジェノサイダー翔について詳しく書かれているこの事件簿・・・の写真を眺めていた時、ある事に気が付いたのです。
それは、犯行に使用されている凶器の全てが銀製のナイフである事・・・・。ナイフである事ではなく、銀製のナイフです。」
ルイ
「そう。私が人を殺すときに使う武器はこの銀製のナイフのみ・・・!」
ボロ
「・・・こ、この・・・?」
すると、ルイは突如メイド服のスカートの中に手を突っ込むと、隠し持っていた銀製のナイフを6本も取り出し指と指の間に挟んで見せつけた。
ルイ
「自分で作ったこのナイフなら狙った獲物は100%外さないっ!!!」
禍々しいオーラとまるで壁が迫ってくるかのような圧倒的な迫力に半分以上の人が身を竦ませる。
ボロ
「ひぃぃぃっ!!?めっちゃ怖ぇぇぇっす!!」
テルミット
「み・・・見てください!!ルイさんの持っているナイフに・・・・ドクロマークとハートマークが刻まれています!それも・・・銀製・・・・。」
キュピル
「・・・・ヘルの胸に刺さっているナイフは取って部分が木で出来ていて荒く削られているだけだったな。」
ルイ
「そう!つまりあれは私のナイフじゃありませんっ!残念でしたわね。」
ガムナ
「い、いや・・・。たまたま持ち合わせが足りなくて急遽どこからか持ってきたナイフを自分用に・・・。」
ルイ
「・・・自殺希望者かしら?私の美徳を傷つけないために自らナイフを持って死んで頂く技を持っていますが、試してみます?」
ガムナ
「うぉおぉぉ!!勘弁してくれぇぇっっ!!」
キュー
「それ他殺じゃ・・・。」
ルイが持っていたナイフを素早く自分のスカートの内側にしまい込むと、いつものルイのようににこやかな笑顔を見せた。
ルイ
「私のこのポリシーは誰がなんと言おうと捻じ曲げる気はありませんわ♪」
キュー
「あ、いつものルイに戻った・・・・。」
ルイ
「大体・・・そのヘルさんの胸に刺さっているナイフ・・・。よくみたらキッチンにある包丁ですわ。」
慌てて電子生徒手帳からヘルの胸に刺さっているナイフ・・・ではなく包丁を確認する。
・・・・確かに、刃が細くて長いが持ち手の所が木で出来ている所を見ると、いかにも包丁っぽい・・・。
テルミット
「え・・・・あ・・・い、言われてみたら・・・・確かに・・・。」
ディバン
「刃が長いからサバイバルナイフかと思ったが・・・確かに良く見たら包丁っぽいな。」
・・・・なんか、結構しょうもない勘違いをしたみたいだ・・・。
ルイ
「まぁ、それがナイフなのか包丁なのかは些細な問題。でも、決定的に違うのは私が持っているこの銀製のナイフではないという事!!」
ギーン
「・・・・・・・・・・・。」
それにしても・・・・。
これはどういう事・・・?
ルイさんは、ジェノサイダー翔である事は確かだけど・・・。
犯人じゃないって事!?
琶月
「(うぅぅ・・だめだ・・・分らない・・・!ルイさんは信用できるの・・・?できないの・・・!?)」
私が悩んでいる間も議論は展開していく。
ルイ
「それに、私がヘルを殺す訳ありませんわ。」
ジェスター
「何で?」
ルイ
「そこのまな板さん。答えてください。」
琶月
「ひっ!!?な、なんで私!!?」
ルイ
「そもそもこの私がヘルを殺す事はありえないのです。・・・お分かりですか?」
・・・・間違えたら自殺させるぞっとでも言っているかのような恐ろしい眼光を浴びせられている。
ルイに睨み付けられて鳥肌がゾゾゾと浮き出る。
琶月
「え、えーっと!!えーっと!!!・・・・・。・・・まさかあの・・・ルイさんが理想とする人ではない・・からって事・・ですか?」
[言魂:ジェノサイダー翔] ->今、巷を騒がせている連続殺人鬼。 ->イケメンかつ若い男性を中心にドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺しまわっているらしい・・・・。 |
ルイ
「そうその通り!!私が好みなのはイケメンで無口でしかも利口なお方・・・。」
そういうとルイはチラ見・・・どころがキュピルの事を無表情でガン見し始めた。
キュピル
「・・・・・・・・。」
が、そのキュピルもまるで自分の事ではないかのように平静を装い、今回の事件についてずっと考え続けている。
ルイ
「ああ、素敵・・・。いつかその顔を苦痛に満たしてみたいですわ・・・。その時どんな声をあげるのか・・・ゾクゾクするっ・・!!」
き、きもちわるい!!!
ルイ
「何か言った?まな板。今度そのまな板で刺身でも調理して差し上げましょうか?きっと白身魚が赤身に染まりますわ。」
琶月
「ぜ、全然!!何も!!」
全力でぶんぶんと首を横に振る。死にたくない!
ガムナ
「女体盛りっ・・!!いいぜぇぇっっ!!」
即座にキューが空き缶を投げつけてガムナを倒す。・・・どこから空き缶を取り出したのだろうか。
それにしても・・・・・・・なんかキュピルにだけ優しいような気がしていたのはそういう事だったのだろうか・・・?
けど今はそんな事は果てしなくどうでもいい・・・・。
ボロ
「しっかし自分の理想な人を見つけたら殺したくなるって・・・とんでもねぇ殺人鬼っす・・・。」
ガムナ
「ま、まぁな・・・。」
キュー
「ルイは自分が犯人じゃないって言ってるけど・・・そんな・・・。殺人鬼の言う事なんか信じられないよ・・・。なんか・・・凄い・・・ショック・・・・。」
ガムナ
「な、なぁ。どっかの作品に登場する誰かさんみたいに、血を見たりクシャミすると性格が入れ替わる多重人格・・・なんだよな?」
ルイ
「多重人格?ナニソレ?表の自分と裏の自分を上手に使い分けているだけですわ。」
ガムナ
「だあああああああ~~~~~~~!!!!!!俺もうルイさんの事信用できねぇぇ~~~~~~!!!!!!!」
ボロ
「や、やっぱり今回の黒はルイさんっすよ!!!」
テルミット
「それではもう投票タイムにしましょうか?」
ジェスター
「そうしようそうしよう。」
モノクマ
「ん?もう投票タイムでいいの?」
・・・・投票タイムが始まろうとしているけれど・・・・。」
果たして・・・・。
果たして本当にルイさんが犯人なのだろうか・・・・?
ルイさんは自分が犯人ではないと主張し、根拠とポリシーを提示してきている・・・・。
でも、そんなの・・・あくまでも殺人鬼が独り善がりで言っているだけで嘘だったら・・・・?本当にルイさんが殺人を犯していて、私達をだまそうとしている・・・?
それとも・・・・。
それとも本当にルイさん意外の誰かが・・・・。
・・・・。
だめだ・・・。
私には・・・。判断を下せない・・・・。
このまま投票タイムに移って後は流れに身を委ねようとした・・・・。
その時だった。
キュピル
「ちょっと待て。俺達はまだ議論を徹底的に尽していない。」
ボロ
「だ、だけどもうルイが殆ど犯人じゃないっすか・・・?」
ファン
「・・・・僕も僕なりに考えていましたが、少し気になる点がいくつか残っています。」
キュピル
「俺もある。この気になる点を消火するまでは投票タイムに入るのは時期早々じゃないか?」
これまで沈黙を貫き通していたキュピルがいよいよ動き出した。
答えがまとまったのか?それとも、この流れは不味いと思ったのか。
ギーン
「気になることがあるなら言ってみろ。」
ファン
「ヘルさんの心臓に刺さっているドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフ・・・いえ、包丁の件ですが
あれがルイさんが用意された物でないとすれば一体誰が用意したものなんですか?」
ジェスター
「本当はルイなんじゃないの?プライド~だとかポリシ~だとか言っているけど、怪しまれないために実は言っているだけとか。」
ルイ
「ジェスターさんは可愛いので特別に答えてあげますけれど、ポリシーを破るぐらいなら自殺しますわ。」
ガムナ
「なんちゅーポリシーだよ・・・。」
ディバン
「・・・ヘルの胸に刺さっている包丁。あれが原因でヘルは死んだに違いない。つまり、包丁を刺した奴が犯人だ。」
ルイ
「うん・・・。目立った外傷がそれしかないから私も異論はないよ。」
キュピル
「果たしてそうだろうか。」
キュピルがピシャリと言い放つ。
キュー
「え?何で?だって死因に繋がるような傷はあの包丁ぐらいしかないじゃん!手の平に打ち込まれた釘は少なくとも生きている時にやられたとは思い難いし・・・。」
キュピル
「ヘルの死体は決定的におかしな状況があった。」
ボロ
「おかしな状況・・・・?」
キュピル
「琶月、お前も気づいているよな?」
琶月
「え!?そうやっていきなり私に振るのもうやめません!?」
キュピル
「気・づ・い・て・い・る・よ・な?」
な、なんでーーー!!!
琶月
「・・・・え、え・ええ・ええ・・・えっと・・・・。」
お、おかしな点・・・?
・・・・あ・・・そういえば・・・ファンさんがこんな事言っていったっけ・・・・。
琶月
「もしかして・・・包丁で胸を刺されている割には出血量が少ない・・・っという事を言っていますか?」
[言魂:少ない出血] ->ナイフで刺された箇所からの出血の痕があまり見当たらない。 ->釘が打ち込まれている手の平も同様に出血の痕が見当たらない。 |
キュピル
「そうだ。」
ボロ
「いや、でも結構血出てると思うっすよ。」
キュピル
「心臓を刃物で刺してみろ。出血量はあの程度じゃすまないぞ。」
ルイ
「何なら実践してみましょうか?」
ルイが満面の笑顔を見せつけながら両手にナイフを挟む。あまりの早業に最初からナイフを持っていたかのように見えてしまった。
ボロ
「勘弁してくださいっす・・・。」
キュー
「じゃあ・・・何で包丁で胸を刺されたのにも関わらずあの程度の出血量で済んでいるの・・・?」
キュピル
「理由は簡単だ。・・・まぁ、これも琶月に答えてもらうか。」
琶月
「キュピルさん、本当は分っていなかったりしません?」
キュピル
「はったおすぞ。」
琶月
「うぇっ!!!?」
急にキレられて挙動不審に陥る私。
震え声になりつつも、適当に応えてみる。
琶月
「え、え、え、えっと・・・。その・・・あ、死後硬直時に包丁を刺したから!・・・とか?」
キュピル
「当たりだ。包丁が刺さっているにも関わらずあの程度の出血量で済んでいる理由は死後硬直、もしくはその後に刺されたからだ。」
ジェスター
「ふーん。でもそれが何なの?何か変わるの?」
キュピル
「今回のケースだと決定的に変わってくるな。」
・・・・あ・・・・。
やっとキュピルさんが言いたい事が分った・・・。わかった・・・!!!
琶月
「つまり・・・・。包丁を刺した理由が殺すため・・ではなくて、それ以外の理由に変わるという事なんですね?」
キュピル
「そうだ。」
キュー
「なら・・・一体何のために既に死んでるヘルに包丁なんか刺したの!」
琶月
「偽装工作です!」
キュー
「・・・偽装工作?」
頭の中でロジックが組みあがった。
出来上がったロジックをそのままこの場で言いまくる。
琶月
「そうです。今回ヘルさんの胸に刺さっている包丁にはドクロマークとハートマークが彫り込まれていた・・・。だけど、ルイさんが使うナイフは
全て銀製のナイフで木包丁にドクロマークとハートマークなんか掘って使ったりはしない・・・。っという事は、私達をだますために
誰かが包丁にドクロマークとハートマークを掘りこんであたかもルイさんが犯行したかのように見せかけたんです!!」
テルミット
「だ、だとしたら・・・ルイさんは本当に犯人ではなかったって・・・事ですか!?」
琶月
「そうなります・・・。」
ルイ
「私の身の潔白を証明してくれた琶月さんには後で紅茶を差し上げましょう・・・。」
琶月
「怖いので遠慮しておきます。」
血が入ってそう・・・。
ルイ
「血なんて入れませんわ。・・・キュピルさん以外の紅茶には。」
キュー
「・・・・・・・もう飲んじゃってない?キュピル。」
キュピル
「・・・・・・・・・・。」
何のリアクションも示さない。気にしていないのか聞こえていないのか、考え込んでいるのか・・・・・。
ディバン
「しかしルイが犯人でないとすればここから先の議論はますます重要性を増していくぞ。一体誰がこんな偽装工作を行った。」
ガムナ
「常識的に考えるとこの偽装工作を行った奴が真の犯人なんだよな・・・!?」
テルミット
「普通に考えたらそうなります・・・。だって犯人以外の人がこんな工作を行った所でメリットなんか・・・ありませんから。」
そりゃそうだ・・・。
キュピル
「今回の偽装工作が出来た奴が誰なのか絞り込む必要があるな。」
ここまでは・・・ここまではうまく進んでいる気がする。
・・・だけど。
どうやってここから犯人を絞り込めばいいんだ・・・!?
続く